不定期更新について
ショートショートの更新頻度を「週1」から「不定期更新」に変更しました。
最近、忙しくなったり、急に暇になったりと、生活のリズムが一定でないため、何週も更新しないこともあれば、1週間に何回も更新することもあると思います。なので、いっそのこと、不定期更新にしてしまおう、ということになりました。決して、面倒になった訳ではありません。あしからず。
それにしても、近頃、コメント欄に、アダルト系サイトの広告が目立ちます。見つけたら、即刻削除しているのですが、少し腹が立ちますね。こんなとこで宣伝しても、意味ないでしょうに……。
三人の少女
ある日、三人の少女のうちの一人が、今晩、家に集まって怪談大会をしないか、と二人を誘った。
怪談大会とは、その名の通り、怪談話をするだけのことである。だが、その怪談大会を行うと、何か恐ろしいことが起こる、と噂されていた。
もちろん、少女たちもこの噂を知っていたが、特に気にしなかった。三人でやるのだから大丈夫だろう、と安心しきっていた。
やがて、実行のときがやって来た。怪談大会の発案者である少女は、部屋を暗くしよう、と言い、残りの二人もそれに従った。より雰囲気を出せると思ったのだ。
部屋の電灯を消すと、部屋は真っ暗になった。新月なので、月明かりも入ってこない。正真正銘の闇である。ここで怖気づいた一人の少女が、みんな一緒に手をつなごう、と言った。残りの二人もそれに従った。三人とも、怖がっていたのだ。
準備が整い、怪談大会が行われた。順番通りに、一人が一話ずつ怪談を話し、それを朝まで続ける。
怪談大会は順調に進行し、少女たちは適度なスリルと恐怖、妙な連帯感のようなものを感じ、満足して朝を迎えた。
しかし、朝が来て、部屋の中に日の光が差し込んでくると、少女たちは妙なことに気づいた。
三人のうちの一人がいなくなっているのである。ちゃんと手をつないでいたはずなのに、いつの間にか消えていた。
残った二人は一瞬、パニックになった。これが噂の「恐ろしいこと」なのか……。そんな考えが二人の頭をよぎったとき、タンスの陰から、居なくなった少女がのこのこと歩いてきた。タンスに隠れていて、二人からは見えなかっただけだったのだ。
少女の姿を見た二人は、嬉しさのあまり、その少女に抱きついた。突然、抱きつかれた少女は、困惑しながら尋ねた。
「一体どうしたの?二人とも」
「どうしたのって、あなたが突然いなくなったから心配してたのよ。さっきまで一緒にいたのに、いつ、手を離したの?」
「さっき? ……二人とも、忘れたの? 私は怪談大会が始まってすぐ、眠くなってきたからもう寝るね、と言って先に寝ちゃったじゃない。二人とも、何も言わずにスッと手を離してくれたけど……。本当に覚えてないの?」
贈り物
その日、空港は大勢の報道陣でにぎわっていた。
ギュール星からの使節団が帰還する日なのだ。ギュール星は、最近発見されたばかりの惑星で、調査を進めるうちに、地球と同じような生命体がいることが分かった。さらに調査を進めると、ギュール星にも知的生命体が存在し、地球よりはるかに高レベルの文明を築いていることが判明した。
そして、そのギュール星に、互いの技術交換を目的とした親善使節団が、地球を出発したのが、一ヶ月前。今日、使節団が帰ってくる。
皆が見守る中、空に白い光の筋のようなものが見えた。それはあっという間に大きくなり、空港に着陸した。使節団の宇宙船である。
宇宙船が着陸すると同時に、周りにいた報道陣が殺到した。
着陸した宇宙船から使節団が出てくると、一斉に質問が浴びせられた。
「ギュール星はどんな星でしたか?」
「彼らの文明とは?」
「ギュール星人はどんな姿なんですか?」
「何か問題はありましたか?」
浴びせられる多くの質問に、使節団は少し困った顔をしたが、すぐに笑顔になり、その質問に答えていった。
「ギュール星は酸素は十分にあり、気候も温暖。特に有害な物質は検出されなかったし、住民も温厚だ」
「彼らの文明は少し変わっていてね、水中で発達しているんだ。何でも、古代に世界中のほとんどの大陸が海に沈んだのが、原因らしい。だが、それで彼らが絶滅するようなことはなかった。どんな仕掛けなのか知らないが、水中でも呼吸ができるようになっているんだ」
「ギュール星人には二種族いて、一つは人間に近い形で、もう一つは少し魚っぽい姿をしている。もちろん、どちらの種族を争うことなく、平和に暮らしている」
「特に問題はなかったが、別れ際に変な贈り物をもらった。箱のようなものだ。贈り物なのに、『開けてはいけない』と言うんだよ。開けようと試みても、地球に到着するまでは開かないらしいから、開けずに持ってきたのだが……」
それを聞いて、皆は興奮した。高度な技術を持つ星からの贈り物。中には何が入っているのだろう。好奇心を抑えきれなくなった記者の一人が、こう質問した。
「その箱は開けないのですか?」
それを聞いた使節団は、揃って笑いながらこう答えた。
「もちろん、開けますとも。もう地球に着いたのですから、開けられるはずです。きっと中には我々には想像もつかないものが入っているに違いない。これが開けずにいられるわけないでしょう。贈り物なのだから、危険物が入っていることもないでしょう」
そう言って、船内から銀色の箱のようなものを持ってきた。それほど大きくはないはずなのに、ズッシリと重そうだった。
そして、使節団は皆が見ている目の前で箱を開けた。
「ただ今、開封が確認されました」
「時間は一ヶ月か。ずいぶん早かったな」
地球とは数光年も離れたギュール星では、こんなやり取りがされていた。
「それにしても、なぜ我々はこんなことをしているのでしょう」
「仕方のないことだ。我々の命令に従わず、反抗する恐れのある者は、早いうちに消さなくてはならない。なので、古来から我々の星に来た者には『贈り物』を渡すことにしている。この星の科学の粋を集めて作った、超高性能爆弾という『贈り物』をな……」
そして、起爆スイッチを押した。
新都社での作品掲載について
新都社の「文芸新都」の「珠玉のショートショート集」に「小さな出来事」を投稿してみました。
新都社(ニートしゃ)と言えば、有名なマンガ・小説の投稿サイト。その新都社の文芸新都に「珠玉のショートショート集」というものを発見したのが昨日のこと。そのまま勢いで、登録してしまいました。
現在の評価は微妙ですが、多くの人に自分の作品を見てもらうというのは、気持ちの良いものです。
良い評価を得ることができたならば、「小さな出来事」の他にも投稿する予定です。
呪いの人形
「お前なんかゴミだ。さっさと失せろ」
「ああ、そうしてやるとも。こっちだってお前なんかと同じ空気は吸いたくない」
「俺もそう思っていたところだ。じゃあな、負け犬」
「何とでも言え。二度と俺に顔を見せるな」
内藤のおの言葉を最後に、俺はやつの家を出た。
なぜ、このような口論になったのかは覚えていない。だが、俺は今まで生きてきた中で、最もイライラしていた。
俺の名前は青木 隆。内藤とは小学校からの親友だ。お互いに同じ大学を卒業し、晴れて社会人になった祝いにと、内藤の家で祝杯をあげる予定だったのだが、いつの間にかさっきのような口論になっていた。
俺も内藤も、感情の起伏がおだやかで、今まであんな激しい口論はしたことがなかった。それだけに、今回のことは非常にショックだったし、信じられなかった。それと同時に、俺の心に中には、内藤に対する恨みが募っていった。
自分の家に帰り、少し酒を飲んでベッドに入ったが、なかなか寝付けない。そのとき、俺はふと、ある事を思い出した。
ついこの間、内藤と一緒に街へ出かけた。その帰り、酔った勢いで入った怪しげな店で、「呪いの人形」という代物を買ったのだ。
見た目は、ただの藁人形で、購入した際に説明書も渡された。確か、机の上に放り出したままだ。
机の上の藁人形は、月の光に当てられて、言いようもないほど不気味だった。それを見た俺は、一瞬ギョッとしたが、すぐに説明書を手にとり、読み始めた。
『”呪いの人形”の説明書
・この人形を使うと、ある特定の個人を自分の思うままに操ることができます。
・使い方は簡単です。まず、あなたが操りたい人の所持品、またはその一部を人形の中に入れます。そして、その人形に向かって命令するのです。たったこれだけの操作で、他人を操り人形にすることができます』
……別にこんなものを信じているわけではないが、俺はとにかくこの苛立ちを収めたかった。
内藤から借りていた本のページの端を破き、それを人形の中にねじ込んだ俺は、人形に向かってつぶやいた。
「明日の朝、大通りで誰か刺し殺してこい」
内藤を犯罪者にして、やつを社会からドロップアウトさせる。それが俺の狙いだった。
そこまで考えて、馬鹿らしくなった。こんなことで、どうにかなるはずはない。だが、不思議と苛立ちの収まった俺は、いつの間にか眠っていた。
翌朝、俺の目覚めは最高だった。今日は何もかもうまくいきそうだ。だが、昨日のことを思い出すと、気分が悪くなった。
特に予定はなかったので、街へ行くことにした。街へ行くということは、大通りを通ることになる。人形の呪いなど、ほとんど信じてはいなかったが、どうせ通るのなら確認しておきたかった。もしかすると、昨日のことで苛立ちを募らせた内藤が、人を刺しまわっているかも知れない。
そして、家を出た俺だったが、なぜか大通りに近づくにつれて、歩くスピードが速くなっていった。これはどうしたのだろう。早く街へ行きたいという意思が、無意識のうちに表面化しているのだろうか。
大通りに着くと、俺はおもむろに持ってきたカバンの中に手を入れた。俺は驚いた。なにしろ、こんなことをするつもりはないのに、身体が勝手に動いていたのだ。だが、カバンから取り出されたものを見て、俺はさらに驚いた。包丁だ。なぜこんなものが……。
ふと前に目をやると、俺と同じように走ってくるやつがいる。誰だろう、とよく目を凝らしてみると、内藤だった。そして、手には……包丁が握られている。
悲鳴を上げる間もなく、俺たちはお互いに刺し合った。相手が倒れても、完全に息の根を止めるまで、何度も刺し続けた。
そのさなか、俺は思い出した。内藤もあの夜、「呪いの人形」を買っていたのだ。そして、昨夜、俺と同じように人形に命令したのだろう。
俺の視界はしだいに、暗くなっていった。
「うまくいったようだね」
大通りでの惨劇の数分後、野次馬の中の一人がそうつぶやいた。彼女は「呪いの人形」を売っている店の店主。もうかなりの高齢である。
「次は誰を呪わせようか……」
そう言いながら、彼女は二体の人形をそっとカバンにしまった。





